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EEOCは、従業員4000人の工場(うち女性は800人)で、300人以上がセクハラの被害を受けている可能性があると判断した。
こちらの集団訴訟は、1998年6月、セクハラとしては史上最高の3400万ドル、48億円で和解したが、私が調査した1997年末時点ではまだ係争中であった。 ところで、セクハラというと、日本人のオジサンがアメリカ人女性にいやらしいことをしたのではないかとか、性的関係を迫ったのではないか、などと思われがちだが、このケースは違う。
すべてはアメリカ人男性によるアメリカ人女性へのセクハラである。 具体的には、胸や尻に触る、キスする、いやらしい写真や絵を特定の女性の名前とともに生産ラインの車に張り付けてからかう、男女関係の悪質な噂を流すといった行動。
女性がその職場にふさわしくないといった差別的な言葉や、訓練、機会での男女差別。 また、アメリカ人の男性従業員が日本に研修に行ったときにセックスショーに連れて行かれ、その写真が職場で回覧されたこと。
勤務時間中にセクシャルなパーティが開かれていたことなどである。 日本人が問われた管理上の問題とは、「そうした事実が広範囲にかつ繰り返し存在していることを知りながら、経営側が有効な対策を講じなかったこと」である。
セクハラや差別の苦情を受け付ける機関は社内にあるが、労組を含め満足に機能せず、処分は被害者の納得のいくものではなかった。 逆に、救済を申し入れた女性があとで報復され、暴力による脅迫やいやがらせに遭い、退職や精神障害に追い込まれるケースもあった。
セクハラ防止の教育も不十分だった。 それで、会社側はセクハラを容認、助長していたとして、管理責任を問われたのである。

しかし、問題はそれで終わらなかった。 EEOCが集団訴訟を起こした3日後、経営陣は職場集会を招集した。
副社長はそこで、裁判によりクルマの売り上げに影響が出れば、生産ラインの縮小も考えられると発言。 この内容がWに漏れ、会社は失業をチラつかせて従業員に脅しをかけたと報じられた。
さらに10日後、従業員たちが「自発的に」組織した、シカゴのEEOCオフィスへの大規模デモが、騒動を大きくした。 これは「Mイコールセクハラ企業のイメージがはびこってしまって恥ずかしい。実際は一部の人の問題なのに」という動機で、本当に女子従業員たちが自ら発案したデモであったが、会社が参加者全員に日当とランチを支給し、生産ラインを止め、デモへの出欠の意思を提出させ、結局3000人に膨れ上った参加者の移動のために、往復6時間のバス60台チャーター費用まで負担したものだから、マスコミには「会社のおかかえデモ」というレッテルを貼られてしまった。

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